2021年12月(日本社会の「正確性」)
先日、某都市銀行のシステム障害が短期間で多発しているというニュースが世間を騒がせました。この問題は特にその正確性に信頼がある日本の金融機関では考えられない事態であるとして、
各方面に大きな影響を及ぼしました。システム障害の原因が人為的なものである以上、リスクを全くゼロにすることはできませんが、社会への大きな影響を考えると、
今後のしっかりとした対応をお願いしたいところです。
さて、日本社会の「正確性」を語るときに、よく引き合いが出されるのが公共交通機関に関してです。特に日本の鉄道の正確さは有名で、何百本もの電車が複雑なダイヤに基づいて運行しているなかで、
遅延はほとんどありません。それに対して外国では、先進国といわれる国でも遅延は日常茶飯事だという事例は枚挙にいとまがないそうです。興味深いことは、利用者もその事態を許容していることです。
金融システムと鉄道ダイヤを同列に論じることはできませんが、一言で「国民性」の違いと断じてしまうのは拙速だと思います。最近、国内での一部報道に感じるのは許容力の狭さ、他者に対する容赦ない論調です。
「人と人とのつながり」を強くするためには、相手に対する理解力や包容力がなど大切です。今後の日本が相手の欠点を互いにあげつらうようなギスギスした社会になってしまわないことを願ってやみません。