2023年2月(ネット社会に思う)
日々さまざまなニュースを見聞きしますが、近ごろはスマホの普及に伴って一般の人からの動画提供が増えています。これには、いつ起こるかわからない自然災害などの発生時に、偶然そこにいた人から現場の状況がすぐに映像で届けられるなど、復旧の面で初動対応がしやすくなるという利点があります。
しかしその反面、投稿動画は単なる興味本位や、他人を非難する目的で撮影されている場合が多いように感じます。そもそも、なぜ自分と無関係な人を非難するのでしょうか。それは、自分と違う価値観を持つ人を見ると、社会全体の規範から外れている人だと決めつけてしまうからかもしれません。少し前に、マスクを着けていない人に対して、個別の事情などを考慮しないで痛烈に批判する人を「マスク警察」などと言いましたが、まさにこのような考え方によるのではないでしょうか。
問題なのは、ネットが普及した現在、面と向かって堂々とではなく、匿名で安易に相手を批判する人が増えていることです。残念なことに、他人を馬鹿にしたり陥れたりするような動画投稿が無くならないのは、それを見たいと思う人も多いからです。しかし、このような状況ではいつでも自分が被写体となって、非難にさらされる可能性があることを忘れてはいけません。
難しい問題ですが、言い換えれば、技術の急激な進歩に人間社会が追い付いていないのかもしれません。ただし、どんな複雑なシステムも所詮は人間が使うための道具ですから、案外答えは簡単で「お互いに相手を気遣う思いやりの心」を持つことこそが、結局は一番の解決策なのではないでしょうか。
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