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町長の部屋
町長のつぶやき2024年度

2024年10月(「四季」とは言いますが)

10月は暦の上では秋の季節です。秋と言えば、サンマ、マツタケ、栗、サツマイモなど「食欲の秋」を連想される方も多いと思いますが、近年は10月でもまだまだ暑い日が続き、夏とほとんど変わりません。夏バテで胃腸も弱り、せっかくの「マツタケの土瓶蒸し」も、もう少し先に取っておこうか、ということになりそうです。
古来より、日本の魅力の一つとして、四季折々の自然風景や風情ある伝統行事などがあげられます。春は桜に北方まつり、夏は花火や海水浴、秋は紅葉と運動会、冬は雪景色に鍋料理などと、季節ごとの様々な情景が頭に浮かぶのですが、残念ながら最近の気候は、暑いか寒いかどちらかの「二季」になってしまったように感じます。
ところで、日本人の気質として、謙虚さや和を重んじる精神が挙げられます。外国の人からは「曖昧だ」とか「はっきりしない」というように評されることもありますが、奥ゆかしい表現や間接的な言い回しは、相手に対する思いやりや配慮を示すものであり、日本の文化に基づいた美徳であるとも言えます。四季の移ろいの中で、暑くもなく寒くもない春と秋の時期は、いわば日本人の曖昧さや控えめな態度を象徴するような季節なのかも知れません。
最近の風潮として、何か問題があれば関係者は徹底的に糾弾され、その責任を厳しく問われるような事例が多いように感じます。春や秋が無くなったかのような気候の変化は、日本人の曖昧さや謙虚な気質にも変化をもたらし、日本社会から寛容性や思いやりの心まで奪ってしまったかのように思えます。ある程度の自然環境の変化はやむを得ませんが、お互いを思いやる心までは失いたくないものです。